
洪安妮(Anni Hung) は台湾のシンガーソングライター、作詞作曲家、プロデューサー。彼女の音楽はフォークポップを基調とし、ミニマルな編成と繊細な言葉で感情の状態や人との距離感、内面的な感覚を描き出す。アコースティックギター、ボーカル、そして空間的なサウンドを中心に据えた、内省的で静かな表現が特徴である。
洪安妮は大学のキャンパスライブから活動をスタートし、徐々にライブ経験とリスナーを積み重ねてきた。2017年12月にデビューアルバム 『我喜歡你』 をリリース。その後、コロナ禍の期間にEP 『Present』 を発表し、日常を大切にすること、今を生きること、そして別れを受け入れることといったテーマを描いた。これまでに 3枚のフルアルバムと1枚のEP を発表しており、台湾では1000人規模のワンマンライブも開催。また台湾映画 『夢遊樂園』 の主題歌も手がけている。
近年は国際的な音楽活動も積極的に行い、日本・オーストリア・イギリス などで公演を行い、ロンドンではソロショーケースを開催。2025年には ロンドン大学ゴールドスミス校(Goldsmiths, University of London) にて 音楽創作修士(MMus Creative Practice) を取得した。
2024年のアルバム 『A Room in Brockley』 は、英国での生活から得た日常の観察や感覚をもとに制作され、侘び寂び(wabi-sabi) の美学を取り入れている。音の生々しい質感や自然な揺らぎをあえて残し、不完全でありながら生活に寄り添う音楽を提示している。
2026年1月に発表された 『A Piece of Peace』 は前作の流れを引き継ぎ、ミニマルで自然なサウンド言語を通して、現代のスピードと不安に満ちた環境の中で 静けさと安心感 を届けることを試みている。
洪安妮の創作は日常から生まれる。音楽は自身を励まし、同時に聴き手に寄り添う存在でもある。彼女にとって創作とは内面を整理するプロセスであり、音楽は思考や感情、そして時間が残す痕跡を記録する表現手段である。またそれは、自分と他者のあいだを行き来しながら共鳴していく 双方向のコミュニケーション でもある。


